歯を治すのではなく、歯を守るために
健康な歯で一生過ごせるように
歯科医院へ「歯を治しに」来院される方が、多いと思います。その考え方はぜひ見直していただきたいです。そもそも病気にならなければ、歯を削ったり抜いたりという治療をしなくて済みます。そういった、むし歯や歯周病を予防するため、「歯を守る」ために歯科医院へ通院するという考え方が最も大切になります。昔と比べると日本でもその考えが徐々に広がりつつありますが、世界的に見るとまだまだ浸透していません。
健康な歯をできる限り残すために
皆さんは、つめ物やかぶせ物などの耐久性がどれくらいかご存知ですか?
平均して4、5年。持っても10年くらいしかもたないのです。お口の状態が変化していくことで、初めはぴったり合っていてもだんだんとズレなどの不具合が出てくるためです。つまり、どんなに優れたつめ物やかぶせ物でも一生使い続けることはできず、天然の歯には敵わないということです。
歯は一度削ると二度と元に戻りません。大切な歯を一生守っていくためには予防が必要になります。
当院では虫歯を防ぎきれず治療が必要になってしまった方には、できるだけ歯を削ったり抜いたりせずに健康な歯を残す「ミニマルインターベンション(最小限の介入)」という概念で治療を行います。
何で虫歯になるの?
虫歯のステージ
始めにエナメル質が脱灰し(C0)、そののち徐々に象牙質、歯髄へと進んでいきます。
むし歯がエナメル質にとどまっている場合(C1)には、ほとんど症状はありません。表面の色がやや褐色から黒くなることがあります。
象牙質へ進むと(C2)、冷たい食物の摂取時にしみたり、硬い食物を噛んだ時に少し痛みを感じたり、エナメル質が崩壊して穴があいたりする症状が起こります。歯の表面が、粗くザラザラした感じがすることもあります。
虫歯が歯髄へ到達すると(C3)、歯髄炎を併発して強い痛みを感じるようになります。
さらにそのまま放置しておくと、歯の大部分が崩壊し根の先に膿の袋を作ってしまい歯茎が腫れることや、痛みが出ることがあります(C4)。
C3 → 神経をとる治療(根管治療)を行います。
C4 → 根管治療又は抜歯になることがあります。
根っこの治療(根管治療)
根管治療は建築でいう基礎工事にあたります
根管治療は、歯の中に入ってしまった細菌を取り除き、根の先で膿ができない(炎症が起こらない)ようにすることが目的です。その為には、以下の3点が重要になります。
1.治療中に歯の中に細菌を入れない
2.歯の中に入った細菌を徹底的に取り除く
3.細菌を歯の中から取り除いた後、細菌が二度と入らないようにする
根管の数や形、曲がり具合は十人十色(網の目状、分岐、イスムス)しかもこの作業は狭い口の中で、かつ直接みることの難しい歯の中での10ミクロン単位での細かい作業になります。根管治療は歯科治療の中でも相当な技術を必要とするものです。